2011年5月7日土曜日

体の中で一番大切な部分

ママはよく私に、体の中で一番大切な部分はどこか、と尋ねてきた。
長い年月の間、私は正しいと思う答えを当ててみた。

まだ幼かった頃、音というのは人間にとってとても重要に思えた。
そこで私は、「耳でしょ、ママ?」と答えた。

ママは、「いいえ、耳の聞こえない人はたくさんいるでしょ。でもまた近いうちに聞くから考えておいてね。」と言った。

ママが次にその質問をしたのは数年経ってからだった。私は、最初のチャレンジの後、正しい答えを考えてきた。

それで今回は、「ママ、目が見えるっていうのは誰にとっても大切でしょ。だから絶対に目だと思う。」と答えた。

ママは私を見つめて、「おまえはどんどん賢くなっているけど、まだ正しい答えじゃないわ。だって、目の見えない人はたくさんいるでしょ。」と言った。

また間違えてしまった。でも私は答えを探求し続けた。ママは何度か同じ質問をしてきたが、答えはいつも決まって、「違うわ、でもおまえは毎年賢くなっているわね。」というものだった。

そんなある年、祖父が亡くなった。みんなショックで泣いていた。あの父でさえ泣いていた。父の涙を見たのはまだ2度目だったから、とてもよく覚えている。

祖父に最後のお別れを言う時になって、ママは私を見た。そして「体の中で一番大切なのはどこかもう分かった?」と聞いてきた。私はこんな時に聞かれたのでビックリした。なぜなら、これはママと私のゲームみたいなものだずっとと思っていたからだ。

私が困った顔をしているのを見て、ママは「大切な質問なの、おまえが本当に人生を歩んできたかどうかが分かるから。これまでに答えた体の部分については、どれも間違っていて、その理由も一緒に教えてあげたけど、今日こそおまえがその答えを学ぶべき時ね。」

ママは母親だけができる眼差しで私を見つめた。ママの目は涙で溢れんばかりになっていた。「体の中で一番大切な部分はね、肩なのよ。」

「えっ?それは、肩で頭を支えているから?」私は尋ねた。

「違うわ。それはね、肩が泣いている友達や愛する人の頭を支えてあげられるからよ。人生には誰でも人の肩にすがって泣きたい時が訪れるのよ。だからママは、おまえが十分な愛と友情を授かって、その時が来たら、いつでも誰かの肩にすがって泣けるよう祈っているわ。」

その時、私は体の中で一番大切な部分というのは、自分本位なものではないのだと悟った。それは、自分以外の人のためにあり、自分のためではない。人の痛みに共感するためなのだ。

人はあなたが言ったことを忘れるだろう。したことも忘れるだろう。でもあなたに触れたぬくもりは決して忘れない。


オリジナルへのリンク
http://peacefrompieces.blogspot.com/2011/04/most-important-part-of-body.html

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