2011年7月11日月曜日

美しいティーカップ


ある日、一組の夫婦が結婚25周年記念の買い物をしていて、美しいティーカップを発見した。夫婦は、「それを見せてもらってもいいですか?こんなにステキなティーカップは見たことがない!」と言った。店員が手渡そうとすると、ティーカップが突然しゃべりだした。

「あんたたちには分かってない!私はずっとティーカップだったわけじゃないんだ。むかしは赤い土だったこともあるんだ。師匠が私をもち帰って、何度もたたいてのばしたんだ。『もうほっといてくれ!』って叫んだのに、ただ笑って、『まだ、だめだ』と言ったんだ。」

「それから、ロクロに乗せられて、いきなり何度もぐるぐる回されたんだ。『やめろ、目がまわる!』って叫んだよ。でも師匠はただうなずいて、『まだ、だめだ』と言ったんだ。」

「それから、窯に入れられた。こんなに熱いと思ったことはなかったね!なんで私を燃やしてしまいたいのか分からなくて、扉をたたいて大声で叫んだよ。師匠がすき間からのぞくのが見えけど、首を横にふりながら、『まだ、だめだ』と口を動かしたんだ。」

やっと扉が開いて、私を棚に置いたので、ちょっと涼しくなった。『やれやれ、やっとマシになった!』と言ったのもつかの間、それからブラシをかけられ、全身に絵の具をぬられたんだ。そのにおいのひどかったこと!窒息するかと思ったよ。『やめてくれ!やめてくれ!』って叫んだよ。でも師匠は、『まだ、だめだ』と言ってうなずいただけだった。

それから、いきなり窯にもどされたんだ。これが最初の時よりひどかった。前回の2倍も熱くて、ぜったい窒息すると思ったね。やめるように頼んでみたり、悲鳴をあげてみたり、泣きついたりしてみたよ。でもうなずきながら、『まだ、だめだ』と言っているのが、すき間からみえた。

もう望みはないと分かった。絶対に耐えられない。もうあきらめようと思った。でも扉がひらいて、師匠が私を取りだして、棚においた。1時間後に、師匠は私に鏡を渡して、『見てごらん。』と言った。私は鏡を見てビックリした。『これは私じゃない!ありえない!こんなに美しいなんて。私は美しいんだ!』

それから師匠は、『君にこれから言うことを覚えておいて欲しい』と言ったんだ。

『君が、たたいてのばされて痛がっていたのは知っていたが、放っておいたら、すっかり乾いてしまっただろう。ろくろで目が回ったのも知っているが、もしやめたら、崩れてしまっただろう。窯の中が痛くて熱くて耐えられないのも分かっているが、窯に入れなければ、割れてしまっただろう。ブラシにかけて絵付けをした時の匂いもひどかったのは知っているが、そうしなければ丈夫にならなかっただろう。それに、君の人生には色がなくなってしまっただろう。そして窯にもう一度もどさなかったら、君はあまり丈夫にはならず、この先、長持ちしないだろう。でも今や君は完成品だ。君は私が最初に思っていたとおりになったよ!』」

この話の教訓
神様はどうすれば良いか分かっている。(私たち全てについて)
神様は陶芸家で、私たちは土だ。
神様は私たちを思い通りに形造る。
欠陥のない作品に仕上がるように。
神の善なる喜びに満ちた完全な意思を遂行するために。

(コリント人への手紙第1 10:13
あなた方には、人間なら誰にでも起こりえるような試練以外は起こっていない。
神様は誠実なお方だ。だからあなた方が耐えられないような試練はお与えにならない。

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うわさ話

ある女が隣人のちょっとしたうわさ話をした。数日のうちにその話は近所中に知れ渡った。うわさを立てられた隣人は深く傷ついた。しかし後に、女は、そのうわさが全くのデマだったと知った。女はひどく後悔し、賢者を訪ねて、隣人の名誉を回復するためにはどうすればよいかを尋ねた。

賢者は、「市場に行ってにわとりを買い、その場で絞めてもらうのじゃ。そして家に帰る途中、羽をむしって1枚ずつ道に落とすのじゃ」と告げた。
賢者の言葉に驚いたものの、女は言われた通りにした。

翌日賢者は、「では、昨日落とした羽を全て拾い、私の所に持って来るのじゃ。」と女に告げた。

女は昨日と同じ道をたどったが、羽はすべて風に吹き飛ばされてしまっていたので、うろたえた。何時間も探した後、ようやく3枚を手にして戻った。それを見て賢者は言った。「ほら見よ、落とすのは簡単じゃが、取り戻すのは不可能なのじゃ。うわさ話も同じじゃよ。うわさを広めるのはあっという間じゃ。でも後から何も無かったことにするなど出来っこないのじゃよ!」

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